「分からない」と言ってもよかった──失敗で自分を責めていた私に起きた変化

エンジニア兼研修講師として働くHikkyさんは、以前、忘れ物や探し物、やるべきことの抜けに強く反応し、自分を責めてしまうことに悩んでいました。大事なことを忘れるたびに「自分はだらしない」と追い込み、頭の中がいっぱいになってしまうこともあったといいます。

人に教える立場だからこそ、完璧でなければならない。分からないことがあってはいけない。そんな思いが、自分自身をさらに苦しくしていました。

そんなHikkyさんが、日々の出来事を振り返りながら、どのように事実と解釈を切り分け、自分を許せる余白を持てるようになったのか。変化の流れをお聞きしました。

Before

  • 忘れ物や探し物をきっかけに、自分を強く責めていた
  • 「人に教えるなら完璧でなければ」と自分を追い込んでいた
  • 分からないことがあると、その場をどう取りつくろうかに意識が向いていた
  • 頭の中で同じ考えがぐるぐる回り、落ち着いて探す余裕が少なかった

After

  • 探し物の場面でも、視点を切り替える余裕が出てきた
  • 「分からない」と言い、一緒に確認する行動を選べるようになった
  • 研修の場で「失敗していい」「分からないと言っていい」と伝えるようになった
  • 忙しさの中にも、仕事を楽しめる感覚が出てきた

Contents

目次

  1. 忘れ物や失敗のたびに、自分を責めていた頃
  2. 「今からできることをやろう」──向き合い始めたきっかけ
  3. 探し物の時間に生まれた小さな余裕
  4. 「分からない」と言える研修の場を作れるように
  5. 若い人が安心して成長できる場へ──これからの展望
  6. 自分を責めてしまう人へ

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監修者 / インタビュアープロフィール

佐藤舞(サトマイ)プロフィール写真

運営代表:佐藤舞(サトマイ)

合同会社デルタクリエイト代表社員
桜花学園大学客員教授
科学的な脳トレ「CBTジム®」を主宰。過去2600人に提供。
企業のマーケティングリサーチや需要予測などを行いながら、ビジネス統計学の専門家として、地上波テレビ・ラジオ、新聞、雑誌、経済メディアを通して、情報発信を行う。
上場企業の社外取締役も務める。

小柳出紗季 プロフィール写真

インタビュアー:さき

CBTジム®運営スタッフ
CBTジム®勉強会講師
CBT実践歴6年
完璧主義によって仕事が思うようにパフォーマンスを発揮できなかったところから、CBTを通じて仕事の生産性が上がっただけでなく、自分や家族、仲間を大切にしながら、価値観にそって仕事に取り組めるようになった。

忘れ物や失敗のたびに、自分を責めていた頃

以前は、どんなことに悩んでいましたか?

私は、もともとマルチタスクのようなことがものすごく苦手でした。

あることをやっていても、別のことが気になってしまって、気づいたら違うことをしている。そうしているうちに、もともとやろうとしていたことが頭から抜けてしまうことがよくありました。

大事なことでも、完全に頭から抜け落ちてしまうことがありました。そういう時に、「自分は本当にダメな人間だな」「だらしないやつだな」と、自分自身をすごく追い込んでしまっていたんです。

たとえば、何かの期限や提出物を忘れてしまった時も、「何をやっているんだ」と強く責めていました。そこから、とにかく今からできるだけのことをやろうとはするんですが、頭の中では自己否定がぐるぐる回っていました。

探し物をしている時は、どんな状態でしたか?

探し物をしている時も、以前は「なんでこれを忘れているんだろう」「なんで使った場所を思い出せないんだ」と、いろいろな考えがすごい勢いで回っていました。

ひどい時は、自分が何を探しているのかすら忘れてしまって、「何をやっているんだ」とまた責めてしまう。しっかり探そうとか、少し落ち着こうとか、そういう意識すらなくなってしまう感じでした。

探し物そのものより、自分を責めている時間の方が頭の中では長かったのかもしれません。

「今からできることをやろう」──向き合い始めたきっかけ

どんなきっかけで、自分の考え方を見直し始めたのでしょうか?

以前から、サトマイさんの動画を見て学んでいました。

考え方のクセに向き合う場があることも目にしていて、ちょうど自分が動ける時期と重なったんです。ただ、私はそのこと自体を一度頭から抜け落ちさせてしまっていました。

気づいた時には、必要な提出のタイミングも過ぎていて、「何をやっているんだ」とまた自分を責めそうになりました。

それでも、その時に「今からでもできるだけのことをやろう」と思いました。完璧に整ってからではなく、今できるところから向き合ってみようとしたのが、最初の一歩だったと思います。

ワークには、どんなふうに取り組んでいましたか?

最初は、毎日の振り返りをしながら、ワークをひとつひとつやっていきました。

私は完璧主義なところもあって、ひとつのワークをやるのにも1時間以上かけてしまっていました。言葉を選んだり、考え込んだりしながら、かなり苦労して取り組んでいたと思います。

でも、続ける中で、事実と解釈を分けるという見方が少しずつ入ってきました。たとえば、「何が見つかっていないのか」「自分は何をしようとしていたのか」というシンプルな事実を見る。そのうえで、「その時、自分は何を考えていたんだろう」と振り返るようになりました。

そうすると、本来向き合うべきものとは違う方向を見て、考えなくてもいいことを考えていたんだな、と気づくことがありました。

その中で、どんな思い込みに気づきましたか?

仕事では、私は研修講師という立場でもあります。

人にものを教える立場だからこそ、「自分は完璧な人間でなければいけない」と自分を追い込んでいました。質問された時に分からないことがあると、「どうやってその場を取りつくろうか」と考えることに一生懸命になっていたと思います。

でも、振り返りを続ける中で、自分がそうやって自分を追い込んでいることにも気づいていきました。

探し物の時間に生まれた小さな余裕

最初に、どんな変化を感じましたか?

2週間ぐらい経った頃に、探し物や忘れ物の場面で変化を感じました。

もちろん、今でも探し物をすることはあります。でも、探している最中に、昔のように自分を責め続ける時間が減ってきました。

以前なら、「なんで見つからないんだ」と自分を責める方に頭が向いていました。今は、「まあいいか」ぐらいの感じで、割と気楽に視点を切り替える余裕が出てきたんです。

その分、見つけるまでの時間も早くなっていると感じています。自分を責めることに頭を使いすぎなくなったのが大きいと思います。

変化は、急に起きた感覚でしたか?

最初の頃は、ワークをなんとか書いた、という感じでした。

それが1ヶ月間で37回ぐらい取り組む中で、半分ぐらいを過ぎた頃から、少しずつ自然にできるようになってきました。取り上げる内容にも少し余裕が出てきて、自分の内面的な悩みにも向き合えるようになっていったんです。

他の方から「あれ、それはもうワークできているんじゃないですか」と言われて、「そういえば」と気づいたこともありました。自分ひとりでは見落としていた変化に、周りの言葉で気づけた面もあります。

「分からない」と言える研修の場を作れるように

仕事では、どんな変化がありましたか?

今は、分からないことが出てきた時に、無理に取りつくろうとするのではなく、「分からない」とそのまま言って、「じゃあ一緒に勉強しましょう」という行動を取るようになってきました。

これは自分の中では大きな変化です。完璧でなければいけないと思っていた頃は、分からないと言うこと自体が怖かった。でも今は、分からないことを隠すより、その場で一緒に向き合う方が本質的だと思えるようになりました。

自分を許せるようになったことが、一番大きかったと思います。

研修の場づくりにも変化があったそうですね。

4月から新しい環境で、大学を出たばかりの新入社員の方々を教える機会がありました。

その研修で、私は3つのグランドルールを作りました。

ひとつ目は、失敗していい。ふたつ目は、分からないと言っていい。みっつ目は、ここにいていい。

この3つをみなさんに守ってくださいと伝えたんですが、どちらかというと、私が自分に対して言いたかったことを、みんなに伝えている感覚でした。

そのルールを置いたことで、研修のやり方も大きく変わりました。今は忙しくて大変ではありますが、その忙しさも楽しめている状況です。

若い人が安心して成長できる場へ──これからの展望

これから、どんなふうに進んでいきたいですか?

今回体験したことを、自分が若い人に教える場にも活かしていきたいと思っています。

自分自身が安心して成長できる感覚を持てたからこそ、若い人たちにも「安心して成長できる場」を作れるのではないかと感じています。

失敗してもいい。分からないと言ってもいい。ここにいていい。そういう場があることで、人は少しずつ前に進めるのではないかと思うんです。

私が学んだことが、自分だけではなく、関わる人たちにとっても幸せな方向で役に立てばいいなと思っています。

自分を責めてしまう人へ

同じように悩んでいる人に、伝えたいことはありますか?

やるかやらないかで悩むぐらいだったら、まず何かしら行動を起こしてみてほしいです。

悩んでいた時間が、あとから振り返ると小さく感じるくらい、行動してみることで開けるものがあると思います。

私と同じような特性や悩みを持っていて、自分を責めてしまう方には、特に伝えたいです。自分を責め続けなくて済むようになることは、とても大事なことだと思います。

CBTジム®で、自分の考え方のクセに気づく

CBTジム®では、とっさに浮かぶ考えに気が付き、思い込みや決めつけに気づくワークを通じて、仕事や人間関係での意思決定を見直していきます。

失敗や忘れ物をきっかけに自分を責めやすい方も、事実と解釈を分けて振り返ることで、落ち着いて探す、分からないことを伝える、次の行動を選ぶといった選択を増やしていけます。

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