完全にできなければ駄目だと、自分にも周りにも求めていた頃
以前は、後輩のミスをどう受け取っていましたか?
お金をいただいて仕事をする以上、完全にやり遂げなければならないと思っていました。後輩がミスをすると、怒るというより、「どうしてできないんだろう?」「私の教え方が悪いのかな?」と考えていました。
私の仕事は検査技師です。お客様からお預かりしたものに対して、「失敗しました」「途中で分からなくなりました」という状況を、受け入れてはいけないと強く思っていたんです。
白黒をつけたい気持ちは、ほかにもありましたか?
半分できていても、それでは駄目だと思っていました。「できるのか、できないのか、はっきりしてほしい」「できないなら先に言ってほしい」と、自分にも人にも求めていたんです。
白黒をつけないのは卑怯だとさえ思っていたのですが、その一方で、生活しにくいなとも感じていました。自分のことになると、何をしたいのかが分からず、周りの空気を読んで行動を決めていました。
自分の人生を自分で決めたい──向き合い始めたきっかけ
考え方を見直そうと思ったきっかけは何ですか?
「自分の人生のパイロットになる」という言葉が、とても響きました。自分の人生なのに、何を考えているのか、何をしたいのかが分からない。このまま先も分からずに生きていくのだろうかと思ったんです。
これからの人生では、自分のことを自分の意思で決めたい。そのために、自分の気持ちをもう少しはっきりさせたいと思いました。
始める前に、ためらいはありましたか?
何をするのか分からず、少し怖い気持ちもありました。でも、実際にやってから考えてみてもいいのではないかと思い、勇気を出して始めました。
分からなかった自分の気持ちに、少しずつ気づけるようになった
最初は、どんなことに気づきましたか?
自分の気持ちが分からないと思っていましたが、振り返ると、気づいていなかったり、無視していたりしたんですね。
書いて確かめるうちに、「自分はこう考えているんだ」と少しずつ分かるようになりました。
最初から行動まで変えられたわけではありません。初めの頃は、自分の感情に気づくことで精いっぱいでした。その後も続ける中で、日常でどう使えばよいかを考え始めました。
支えになっている言葉はありますか?
私は物事を深刻に考えすぎるところがありました。ワークに「自分の想像がつかない結果を楽しんでもいいんじゃない?」と書いた時に、コメントでその言葉を褒めていただいたんです。
それ以来、深刻になっていると気づいたら、自分にその言葉をかけるようにしています。
「どこから立て直しましょうか?」と、次の対応を話せるように
ミスが起きた時の会話は、どう変わりましたか?
「できたか」「できなかったか」だけで判断するより、「どこまでできたんですか?」「そこまででミスがあったなら、どこから立て直しましょうか?」と考えるようになりました。
起きたことはいったん受け止めて、これからを考えようと思えるようになったんです。以前のように深刻になるばかりでなく、「そういうこともあるよね。じゃあ、これからどうしようか」と話すようになり、笑いも増えたと感じます。
落ち着いて伝えるために、試したことはありますか?
初めは夜に書いて、すっきりした気持ちで翌朝会社に行っていました。でも、会社に行くとまたモヤモヤしてしまう。それで、机の端にワークシートを置き、時間がある時は、その場で書くようにしました。
すぐに答えを返さず、いったん気持ちを整理してから「先ほどの件ですが」と話しに行きます。気持ちが揺れたまま返事をしていた時より、必要なことを落ち着いて伝えられました。
苦手な人との関わり方も変わりましたか?
以前は、協調性がないと感じた人をすぐに悪いと判断し、避けていました。今は、その人にも何か理由があるのだろうと考え、その人がどんな考え方をするのかに関心が向くようになりました。
今は、その人がそばにいても、以前ほど気になりません。好きか嫌いかをすぐに決めなくてもよくなって、気持ちが楽になりました。
自分の意思で選び、心地よい毎日を過ごしたい
これから、どんなふうになっていきたいですか?
最初の目的だった「自分の人生のパイロットです」と、はっきり言えるようになりたいです。自分の気持ちを確かめながら、心地よい毎日を過ごしていきたいと思っています。
モヤモヤを抱え、試すかどうか迷っている人へ
同じように悩んでいる人へ、伝えたいことはありますか?
私も、始める前はどんなことをするのか分からず、迷いました。でも、自分に合うかどうかは、やってみないと分からないと思います。
モヤモヤしていることがあるなら、まず試してから判断してみてもいいのではないでしょうか。私自身は、やってみてよかったと感じています。
CBTジム®で、白黒を急いで決めず、次の対応を考える
CBTジム®では、とっさに浮かぶ考えや感情を書き出し、思い込みや決めつけに気づくワークを通じて、日常の行動選択を見直していきます。
完璧にできたかどうかで自分や相手を判断してしまう方も、できている部分と対応が必要な部分を分け、次にどうするかを相談する選択肢を考えてみませんか。