「70点くらいでもいい」と思えたら緊張が減った──失敗を恐れていた私が変えた仕事への向き合い方

IT関係の仕事をしているコーイチさんは、お客さんから強く言われると、深く傷つき、自信を失っていました。失敗しないように、怒られないようにと、自分用のマニュアルまで作って準備を重ねていたそうです。

お客さんにも上司にも気を遣い、空気を読むことに力を使う。家庭でも、妻と言い合いになるのを避けるうちに、本音を話さなくなっていました。人との関わりを減らしたいと思うほど、気を張っていたといいます。

そんなコーイチさんが、どのように完璧を求める気持ちを緩め、お客さんに伝わる説明を考えられるようになったのか。自分の感情を言葉にする練習を通じて、仕事や妻とのやり取りに生まれた変化をお聞きしました。

Before

  • お客さんの強い言葉を大きく受け止め、落ち込んで自信を失っていた
  • 怒られないために準備を重ね、完璧に整えようとしていた
  • 妻と言い合いになるのを避け、本音を話さないことが増えていた
  • 人との関わりに疲れ、不快に感じる関係を減らそうとしていた

After

  • 一呼吸おいてお客さんの状況を考え、分かりやすい伝え方を試すようになった
  • 70点くらいでもよいと思え、自分を守ることよりお客さんのために必要なことへ力を向けられた
  • 妻の言い分も一つの考え方として、いったん受け止められるようになった
  • 関係を切り離すだけでなく、良い人間関係を広げていけそうだと思えるようになった

Contents

目次

  1. 怒られないように準備を重ね、周りの顔色を読み続けていた頃
  2. 人の反応に振り回されたくない──考え方に向き合い始めたきっかけ
  3. 正解を書こうとせず、今の気持ちを言葉にできるようになった
  4. 怒られる不安より、お客さんに伝わる説明を考えられるようになった
  5. 日々の会話でも、相手が別の見方に気づく手助けをしたい
  6. 人付き合いを減らすしかないと思っている人へ

Trust

運営代表 / インタビュアープロフィール

運営代表:佐藤舞(サトマイ)

佐藤舞(サトマイ)プロフィール写真

合同会社デルタクリエイト代表社員 / 桜花学園大学客員教授
科学的な脳トレ「CBTジム®」を主宰。過去2600人に提供。
企業のマーケティングリサーチや需要予測などを行いながら、ビジネス統計学の専門家として、地上波テレビ・ラジオ、新聞、雑誌、経済メディアを通して、情報発信を行う。
上場企業の社外取締役も務める。

インタビュアー:さき

小柳出紗季 プロフィール写真

CBTジム®運営スタッフ / CBTジム®勉強会講師 / CBT実践歴6年
完璧主義によって仕事が思うようにパフォーマンスを発揮できなかったところから、CBTを通じて仕事の生産性が上がっただけでなく、自分や家族、仲間を大切にしながら、価値観にそって仕事に取り組めるようになった。

怒られないように準備を重ね、周りの顔色を読み続けていた頃

以前は、仕事でどんなことに困っていましたか?

IT関係の仕事で、お客さんにパソコンやソフトの使い方を説明しています。デスクワークと、現地に伺って対応する仕事が半々くらいです。

お客さんが使い方を理解できず、強く当たられることがあると、すごく落ち込んでいました。相手の言葉を大きく受け止めて、傷ついてしまうんです。

それで自信を失い、失敗しないように、怒られないようにと、自分用のマニュアルを作って準備していました。「用意周到、準備万端」が自分のキャッチコピーのようになっていましたね。

お客さん以外との関係でも、気を張ることはありましたか?

相手の声や表情から、不安そうだとか、怒っていそうだと感じると、自分まで不安になったり、イライラしたりしていました。

上司と一緒にお客さんのところへ行く時も、上司の感情の上がり下がりに揺さぶられて、気疲れしていました。お客さんにも上司にも気を遣って、空気を読むことに集中力を使っていたんです。

家庭でも、妻から自分の言動について何か言われると、言い返したり、言い負かそうとしたりしていました。そうすると相手も怒って、悪循環になる。それが分かっていたので、何も言わず、本音を話さない方を選ぶことが増えていました。

人の反応に振り回されたくない──考え方に向き合い始めたきっかけ

考え方を見直そうと思ったきっかけは何ですか?

自分の考え方の偏りが、言動を狭めてしまうことは以前から知っていました。でも、具体的にどうしたらよいのかが分からなかったんです。

人の反応に敏感で疲れやすい人に向けた本なども読んでいました。それでも困りごとは残っていて、ほかに何か方法があるのではないかと探していました。

そんな時に、考え方を振り返る方法について話を聞きました。仕事を進めやすくなった方や、周りの反応に影響されにくくなった方の話を知り、自分も取り入れてみたいと思ったんです。

当時、どんなことを変えたいと思っていましたか?

人の反応に振り回されず、仕事をもっと進められるようになりたいと思っていました。考え方に偏りがあると知るだけでは変えられなかったので、具体的な方法を試してみたかったんです。

正解を書こうとせず、今の気持ちを言葉にできるようになった

最初に難しかったのは、どんなことでしたか?

自分の感情を言葉にすることです。何となく近い気持ちは選べるんですが、出来事に合わせて詳しく書こうとすると、「何か違うな」と、書いては消すことを繰り返していました。

振り返ると、ワークでも正解を書こうとしていたんだと思います。ほかの方にも見られるので、ダメな自分を見せたくないという気持ちがありました。

正解を書こうとする気持ちは、どう変わりましたか?

ダメな自分を見せたら、ほかの方も書きやすくなるかもしれない。そう考えて、途中の状態でも出すようになりました。少し開き直ったところもあったと思います。

仕事中はすぐにワークができないので、気持ちが動いた時にスマホでメモを取っていました。何があって、どう感じたかを、忘れないうちに書き留めておくんです。

繰り返すうちに、少しずつ言葉にしやすくなりました。最初は一回30分くらいかかっていたのが、終わりの頃には10分くらいで書けるようになっていましたね。

怒られる不安より、お客さんに伝わる説明を考えられるようになった

お客さんに強く言われた時の対応は、どう変わりましたか?

以前ほど感情的に受け止めず、「この人は今、こう感じているんだな」と考えられるようになりました。

「自分の説明が合っていなかったのなら、もう少し分かりやすく伝えてみよう」と、一呼吸おいて次の対応を考えられるようになったんです。

準備を重ねていたことにも、変化はありましたか?

完璧に整えなくても、70点くらいでよいかなと思えるようになりました。自分の場合は、それで大きな不都合を感じていません。

以前の準備は、お客さんのためにもっと良くするというより、自分が怒られないため、傷つかないためのものでした。肩の力が抜けると、人とのやり取りで緊張することも減りました。自分を守ることより、お客さんのために何をするかを考えられるようになったと思います。

妻とのやり取りでは、何が変わりましたか?

自分と同じ見方をする人は、むしろ少ないのだと分かりました。だから、考えを全部一致させようとするのは無理だなと。

妻の言い分も、一つの考え方なんだと思うようにしています。すぐに言い返したり、何も言わずに避けたりする前に、いったん受け止めて考えられるようになりました。

日々の会話でも、相手が別の見方に気づく手助けをしたい

これから、どんな関わり方をしていきたいですか?

普段の生活で人と話す時に、相手が一つの見方に囚われているのかなと感じることがあれば、別の考え方にも目を向けてもらえるような会話ができるといいですね。

今度は自分も、相手の考えをほぐす手助けができるようになりたいと思っています。

人付き合いを減らすしかないと思っている人へ

同じように、人間関係で疲れている方に伝えたいことはありますか?

私は以前、自分が不快になるものをなるべく避けようとして、人間関係もどんどん減らしていました。家族と関わることさえ、煩わしく感じる時がありました。

今は、関係を切り離すしかないとは思っていません。見方が変わると、これから良い人間関係を広げていけるかもしれないという希望が持てました。

過去の自分には、すべてを完璧にこなさなくていいし、自分を良く見せようとしなくていいと伝えたいです。人間関係で苦労している方にも、今とは違う見方を知る機会を持ってみてほしいと思います。

CBTジム®で、人の反応への不安と仕事の目的を整理する

CBTジム®では、とっさに浮かぶ考えや感情を書き出し、思い込みや決めつけに気づくワークを通じて、日常の行動選択を見直していきます。

怒られないようにと準備を重ねてしまう方も、自分が恐れていることと相手が必要としていることを整理し、目の前の仕事や伝え方に力を向ける選択を考えてみませんか。

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